北朝鮮問題の解決への道

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    北朝鮮問題の解決への道                          H29/10/23(総選挙の翌日)

                                                                 太田哲二 

    (1)柳澤協二の話に賛同

     今年の8月初旬と9月下旬に、防衛庁OB、元内閣官房副長官補(安全保障担当)の柳澤協二さんの講演を聞きました。柳澤さんの話に賛同したので、その要点を私なりに、まとめました。

    (2)開戦の兆候はない。それなのに…

     トランプは国連総会(9月20日)で「北朝鮮の完全な破壊」に言及し、金正恩は、水爆実験を含む「史上最強の超強硬措置」を示唆した。

     しかし、開戦の兆候はない。

      たとえば、北朝鮮が多数のミサイル発射機を移動させる、あるいは、米国が韓国にいる数万の米国の非戦闘要員を韓国から避難させる、ということは発生していない。

     それなのに、日本だけが戦争に備えているような行動をしている。

     たとえば、PAK−3迎撃ミサイルを展開したり、J−アラートによる空襲警報・避難訓練を繰り返している。

    (3)戦争は簡単にはできない。

     戦争を仕掛けられた側は、必死で闘う。仕掛ける側は、相手の必死の抵抗を前提に、

       ➀それでも勝てる見通しがある、

       △海舛蕕糧鏗欧軽微である、

       戦後が戦前よりも良くなる、

    こうした展望がなければ、開戦を決断できるものではない。

    (4)誰もが「アメリカは戦争できない」と考えている。

     米・朝開戦となれば、アメリカは戦争に勝つだろう。だが、相手の反撃で「ソウルが火の海になる」、「日本の原発にミサイルが飛んでくる」ことが、軽微な被害であるはずがない。

     また、金正恩を打倒した後、北朝鮮は大混乱に陥る。北の核は行方が分からなくなる、飢えた2000万人の民、軍の武装解除をどうするか?

     破壊は容易でも再建は難しい。破壊は一方的だが、再建には自発的な同意が必要だ。

     そんなことで、誰もが「アメリカは戦争できない」と考えている。金正恩も、そう考え、過激な言葉を投げかける。バカではなのだ。

    (5)戦争の心配もある。

     しかし、戦争の心配も若干ある。制裁や恐怖で追い詰めた場合、「座して死を待つよりは、やるしかない」と考えるかもしれない。戦前の日本は、石油禁輸の圧力によって、無謀な戦争に踏み切った。

    (6)「対話か圧力か」ではなく、「何が目標か」

     問題は、「対話か圧力か」ではなく、「何が目標か」である。最も大切なことは目標をどこに置くか?である。

     北朝鮮は核保有を交渉の条件としている。アメリカは核放棄を交渉の条件としている。

     北朝鮮は、アメリカを攻撃できる核・ミサイルを持てば、アメリカからの攻撃を抑止し、有利な条件で交渉できると考えている。

     分かりにくいのはアメリカの意図だ。核を放棄させようとするなら、方法は2つある。

         ゞ制するか、

         ⇒益誘導するか、である。

    (7)利益誘導しかない。

    北朝鮮への制裁・威嚇を強化すれば、北朝鮮はますます核に固執する悪循環が続いている。行き着く先は戦争だ。北朝鮮はアメリカには勝てないから、戦争の脅しに屈するだろう、という思惑がある。だが、それは間違っている。(3)(4)のように、アメリカは戦争を決断できない。

    そうすると、残された道は「利益誘導」しかない。

    北朝鮮が核に固執する理由が、アメリカに滅ぼされる恐怖だとすれば、その恐怖を取り除いてやることが、最大の利益供与になる。

    (8)国内世論がやっかい

     「利益誘導」=「交渉」に舵を切るのは、ここまでエスカレートしたのでは、そう簡単ではない。外交的妥協には、必ず国内世論の反発があるからだ。道理に合わない戦争は、国内世論の重圧によって引き起こされる。政治家が国内世論を煽って支持拡大をするのが、一番危ない。

    (9)朝鮮戦争の平和条約

     1950年の朝鮮戦争以来、米朝の戦争状態は続いている。それを終わらせるには、北朝鮮が半島の武力統一の方針を放棄し、アメリカが北朝鮮を攻撃する意図を放棄して、平和条約を締結する必要がある。米朝の緊張緩和の枠組みの中で、核保有の動機そのものを減少させていく方法だ。

    (10)韓国も日本も戦術核を

     米朝の緊張緩和に入っても、北朝鮮の核は残る。それを見越したように、韓国でも日本でも、米軍の戦術核の配備を求める声がある。だが、戦術核は戦場で使うための核だから、むしら相手に先制攻撃の動機を与えかねない。

    (11)安倍首相の間違い

     だから、戦術核ではなく戦略核で報復という「核の傘」(核の抑止力)が登場する。安倍首相は今年2月14日、衆院予算委で「北のミサイルを打ち漏らせばアメリカが報復する」と述べているが、「打ち漏らす」とは、日本にミサイルが落ちていることだ。それが核ならば、アメリカが報復しても手遅れだ。アメリカの核抑止力は、日本が無事であることを約束するものではないのだ。

    (12)日本核武装

     また、「日本核武装」論もある。もし、唯一の戦争被爆国である日本が核武装をするなら、国際的な核不拡散体制は崩壊する。すべての国が核を持つかもしれない。確実に核がテロリストの手に渡る。核の恐怖から核を持てば、逆に、核の恐怖が現実のものとなる。

    (13)「能力」と「意図」

     「脅威」とは、「攻撃する能力」と「攻撃する意図」の掛け算である。「能力」を止められないとすれば、「意図」を止めなければならない。「意図」を減らすには、米朝の緊張緩和が必要となる。

    (14)「やりたいこと」と「やれること」を区別

     北朝鮮の核保有を許さない。心からそう思う。だが、「やりたいこと」と「やれることは」は違う。「やれないこと」をやろうとすれば、成功はない。

    (15)平和のために

     相手に負けない軍事力を持ち、ミサイルからの避難訓練をするでは、「戦争の恐怖から解放」されない。「戦争の恐怖から解放」が「平和」である。

     過去の敗戦から何を学ぶのか。負けないように軍備増強するのか、戦争の原因となる対立を解消するのか。今、日本人に問われているのは、そういう選択だ。

     


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