危機が発生すると、「科学的立場」と「人の心の立場」の大幅なズレに右往左往する。そんな記事が2011年(平成23年)12月30日の朝日新聞に掲載されていた。
以下は、私なりの要約です。
2001年9月に狂牛病(BSE牛海綿)感染牛が見つかった。科学的・客観的には、さほど心配しなくてもよかったが、国民は非常に心配した。そして、出荷前の「全頭検査」となった。当時の厚生大臣坂口力は「本当は科学的な話では、あまりなかった」「科学的根拠と人の心の動は次元の違う話」と言った。
別の専門家、吉川泰弘北里大教授は、「実態とかけ離れた『安全神話』を広めた」「ゼロリスクは本来ありえないのに、膨大なコストが投じられた」と言った。
狂牛病だけではなく、ダイオキシン、PCB、口蹄疫、新型豚インフルエンザでも、同じような混乱が発生した。
ただ、福島原発事件で、専門家の科学的知見への不信は拡大した。
あらゆることにゼロリスクはない。ゼロリスクを徹底的に追求すれば、コストは際限なく膨らむ。100%安全ではなく、「どれだけ怖がればいいのか、どれだけコストをかけるべきか」また、「国のお仕着せの基準を信じるのではなく、一人一人が、上手に怖がる、さじ加減を、自前で見つける」…そんな過程が必要になった。
非常に難しい課題だが、ともかくも、「科学的立場」と「人の心の立場」には大幅なズレが生じることは確かだ。
専門家と一般人による「危険度」の判断
どっちが正しいか?
(「リスク学事典 日本リスク研究学会」(2006))から。
一般女性を対象に調査
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専門家による比較
(客観的?) |
一般人による比較
(主観的?) |
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喫煙 |
1位 |
8位 |
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飲酒 |
2位 |
21位 |
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自動車 |
3位 |
7位 |
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ピストル |
4位 |
2位 |
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略 |
略 |
略 |
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原子力 |
20位 |
1位 |
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略 |
略 |
略 |
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食品保存剤 |
27位 |
3位 |
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殺虫剤 |
28位 |
9位 |
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抗生物質 |
29位 |
4位 |
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スプレー缶 |
30位 |
20位 |
放射能と生活習慣……発がんリスクを比べると
(国立がんセンターまとめ。詳細はホームページhttp://www.ncc.go.jp/shinsai/)
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対象 |
比較対象
(1とした場合) |
がんになる
リスクの増え方 |
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喫煙(男性) |
喫煙しない場合 (男性) |
1.6倍 |
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広島長崎の放射線被爆
(1000ミリシーベルト) |
被爆しない人 |
1.5倍 |
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大量に飲酒 |
ときどき飲む |
1.4倍 |
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やせ男性 |
標準男性 |
1.29倍 |
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肥満男性 |
標準男性 |
1.22倍 |
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運動不足 |
よく運動する人 |
1.15 〜1.19倍 |
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広島長崎の放射線被爆
(100〜200ミリシーベルト) |
被爆しない人 |
1.08倍 |
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野菜不足 |
よく野菜を食べる人 |
1.06倍 |
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夫が喫煙する 受動喫煙の女性 |
夫が喫煙しない女性 |
1.02 〜1.03倍 |
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広島長崎の放射線被爆
(100ミリシーベルト未満) |
被爆しない人 |
検出不可能 |